Challenge 01 更新日:2026.06.17

「国産だから」ではなく、選ばれる価値をつくれるのか。アサヒ電子様と考えた、国産充電器プロジェクトの現実

約30社へのお問い合わせ、国内量産の壁、海外生産との違い、人手不足。国産充電器づくりの現実と、はじめの一歩

この記事の要点

価値ある国産充電器

CIOが目指すのは、「国産だから選ばれる充電器」ではなく、「製品として選ばれる価値のある国産充電器」である

共に進めるものづくり

アサヒ電子様とは、単なる製造委託ではなく、品質・信頼性・改善まで含めたものづくりを一緒に進めていく

国内生産の課題

国内量産には、工場探し・数量・コスト・人手不足など、理想だけでは進められない現実的な課題がある

工程移管から着実に製造

だからこそ、まずは移せる工程から始め、第一弾を責任を持って完成まで進める

今回決まったこと

  • 国産充電器プロジェクトは、「日本で作ること」自体ではなく、「選ばれる価値をつくること」を軸に進める
  • アサヒ電子様とは、製造現場の知見を活かし、品質・信頼性・改善まで含めたものづくりを目指す
  • 最初からすべての工程を国内化するのではなく、まずは現実的に移せる工程から始める
  • 第一弾として、CIOが製品を作るだけでなく、届ける・販売する・反響を次の改善につなげるところまで責任を持つ

苦戦していること

  • 「国産」であることだけでは選ばれないため、価格が上がる場合にも納得いただける製品価値をつくる必要がある
  • 中国側での量産実績や強みを活かしながら、日本側へどの工程を移すのか、品質・コスト・納期のバランスを見て整理する必要がある
  • 最初からすべてを国内化するのではなく、プロジェクトを止めずに進められる現実的な移管範囲を見極める必要がある

国産だから、ではなく。選ばれる価値をつくるために。

CIOが考える、国産充電器プロジェクトの3つの視点




今回の取り組み

今回、CIOは国産充電器プロジェクトを進めるにあたり、国内での生産を担ってくださるパートナーとして、アサヒ電子様を訪問し、調印式を行いました。
あわせて、アサヒ電子株式会社 代表取締役社長の菅野様と、国産充電器プロジェクトについて対談をさせていただきました。

CIOは大阪・守口にある会社として、スマートフォンやPC向けの充電器、モバイルバッテリーなどを開発しています。ただ、CIOは単に充電器やバッテリーでシェアを取りたいわけではありません。CIOの製品が一人ひとりの身の回りに自然とあり、毎日の生活が少し便利になり、少しワクワクする。そんな体験を届けたいと考えています。

「国産」だけでは、選ばれない


だからこそ、今回の国産充電器も「日本で作るから買ってください」というものにはしたくありません。
日本企業だから応援したいと言ってくださる方がいることは、とてもありがたいことです。一方で、国産であることに甘えて、価格だけが大きく上がってしまえば、継続して選ばれる製品にはなりません。
今回の対談の中で、菅野様からは「Made in Japanだけでは成り立たない」という、ものづくりを続けてきた立場ならではのお話がありました。愛国心や応援の気持ちだけで、同じ機能の製品を5,000円、1万円高く買い続けていただけるわけではない。これは、国産充電器を進めるCIOとしても、強く向き合わなければならない現実です。
中橋からも、今回の国産充電器が従来製品の2倍、3倍の価格になったときに、「国産だから」という理由だけに甘えてしまえば、絶対に買っていただけないという話をさせていただきました。
その流れの中で、菅野様からも、国産であることだけに頼ってしまえば、一部のニッチな市場で終わってしまい、CIOが目指す「身の回りに自然とCIOの製品がある世界」にはつながらない、というお話がありました。
CIOが目指しているのは、単発の話題づくりではありません。使う人の生活の中に自然と入り、長く選ばれ続ける製品をつくることです。
そのために必要なのは、「国産」という言葉の前に、まず製品として選ばれる理由をつくることです。価格に見合っていること。その人にとって唯一無二であること。手に取ったときに心がくすぐられる品質や、細部まで丁寧に作られていると感じられる完成度があること。この3つのバランスがあって初めて、国産充電器も「選ばれる価値のある製品」になります。

日本が誇れるのは、改善し続ける力


では、その価値をものづくりの現場からどう支えていくのか。
そこで重要になるのが、アサヒ電子様の存在でした。
対談の中で印象的だったのは、菅野様が「安く作ること」だけをものづくりの価値として捉えていなかったことです。
もちろん、コストを抑えることは製造において大切な要素です。ただ、菅野様はそれだけではなく、作りやすさ、不具合の出にくさ、信頼性まで含めて、設計側と一緒に考えていくことが重要だとお話しされていました。
たとえば、製造現場から見ると、「この基板は作りづらい」「この作り方では部品が浮きやすい」「この工程では不良につながりやすい」といったことが見えてくるそうです。
そうした現場の知見を設計側へ返していくことが、結果として不良を減らし、信頼性を高め、長く使える製品につながっていく。これは、単に組み立てをお願いするという話ではなく、製品そのものの完成度を高めていくための関わり方です。
また、以前アサヒ電子様から伺っていた修理事業や不良率改善の考え方も、CIOとして大きな可能性を感じたポイントです。
アサヒ電子様の修理事業は、単に壊れたものを元の状態に戻すだけではなく、不具合の原因を究明し、再発防止につなげることを大切にされています。修理後の品質を担保するだけでなく、解析や修理の情報をデータとして残し、次の製品設計へフィードバックしていく。そうした考え方は、製品を長く安心して使っていただくうえで重要な視点となります。
信頼性は、購入した瞬間には見えにくい価値で、手に取ったその場では、価格や機能、使いやすさの方がわかりやすく見えます。
しかし、不具合が起きたときに、その原因を追い、次のロットで同じ問題が起きないように改善していく。その繰り返しが、長く安心して使える製品につながります。
菅野様のお話から見えてきたのは、製造現場が単に「作る場所」ではなく、製品をより良くしていくための改善の起点にもなり得るということです。


一方で、日本で作る意味については、簡単に答えを出せるものではありません。

中国には、量産力やコスト面で大きな強みがあります。短い期間で多くの数量を作る力、価格を抑えて作る力は非常に高く、CIOとしても学ぶべき点は多くあります。
実際、これまで多くの製品づくりを中国側の協力のもとで進めてきましたし、そのスピード感や生産力に支えられてきた部分もあります。

その反面、海外で量産を進める場合は、CIOが求める品質基準や改善内容を継続して共有し続ける必要があります。
品質改善を依頼すれば、改善のサイクル自体は回ります。しかし、仕様や検査基準、改善したいポイントを細かく伝え、確認し続けなければ、こちらが思い描いているものと少しずつズレてしまうこともあります。担当者が変わったり、現場への引き継ぎが十分でなかったりすれば、一度伝えた内容が次の生産で十分に反映されないこともあります。

これは中国のものづくりが良い悪いという話ではありません。それぞれに強みがあり、その特性を理解したうえで、どのように品質や改善を積み上げていくかが重要だと考えています。

そのうえで、今回CIOが日本で作る意味として見ているのは、長期的に改善を積み重ねていける距離感です。

「なぜこうなったのか」
「どうすれば次は良くできるのか」

使う中で生まれる疑問や課題を、製造現場と近い距離で拾い上げ、次の改善につなげていく。そうしたサイクルを回し続けることが、選ばれる価値のある国産充電器につながると考えています。


理想だけでは続かない。続けられる仕組みへ



今回の取り組みは、日本で作ることだけを目的にしたものではありません。

中国側で積み上げてきた量産実績や強みを活かしながら、日本側へどの工程を移すのかを整理し、品質・コスト・納期のバランスを見ながら進めていきます。

最初からすべてを国内化しようとすると、合意形成に時間がかかり、プロジェクト自体が止まってしまう可能性もあります。だからこそ、まずは現実的に移せる工程から始めます。

対談の中でも、今後の製品展開を見据えて、工程やラインの考え方を共通化していくことや、中長期的なパートナーでなければできない取り組みについて話がありました。

お互いがビジネスとして成立しながら、必要なリスクを取り、議論しながら進めていくこと。そうした関係でなければ、国産充電器プロジェクトは続いていきません。

さらに、国内製造には「人」の現実もあります。

日本で作ると聞くと、「国内工場なら日本人だけで雇用してほしい」という声もあります。ですが、対談の中で菅野様は、実際の製造現場では人手不足が大きな課題になっているとお話しされていました。

国内製造を続けていくためには、単に人を集めるだけではなく、主婦の方、高齢の方、外国人材など、多様な人が働きやすい環境を整えていくことが欠かせません。

菅野様のお話から見えてきたのは、「日本で作る」という言葉の裏側には、工場や工程だけでなく、そこで働く人の問題まで含めて向き合わなければならないということです。

国産だから、ではなく。選ばれる国産へ



「日本で作る」という方針を掲げるだけでは、継続できるものにはなりません。

価格、品質、工程、人、設備、改善の仕組みまで含めて考えなければ、長く選ばれ続ける国産充電器にはつながりません。

今回の取り組みは、いきなりすべての工程を国内で完結させるものではなく、現実的に移せる工程から段階的に積み上げていくものです。

中国側で積み上げてきた量産実績や強みを活かしながら、日本側へ移せる工程を見極め、品質基準や検査方法をすり合わせながら、進めていきます。

第一弾として、CIOは製品を作るだけでなく、きちんと届け、販売し、お客様からの反響を次の改善につなげるところまで責任を持って担います。

国産だから選ばれるのではなく、選ばれる価値のある国産充電器へ。
今回のアサヒ電子様との取り組みは、そのサイクルを回し続けるための一歩目です。

次に取り組むこと

01

国内へ移せる工程と、中国側に残す工程を整理する

02

アサヒ電子様と、現在の生産工程の確認を工場にて実施

03

CIO中国・工場・CIO日本・アサヒ電子様の4者協議にて品質基準や検査設備の選択、認証関連、検品方法などすり合わせる

関連記事・関連コンテンツ

戻る